〜否定ではなく、シンプルにするための一本化〜
この記事は、「オルカンとS&P500のどちらにするか迷っている方」「すでに片方を持っていて、もう片方に移すか悩んでいる方」に向けて書いています。48歳から資産形成を始めた私が、最初はS&P500中心で買っていた理由と、途中でオルカンに寄せた判断の過程をまとめました。お金・資産シリーズの8話目です。
このシリーズの全体像は1話目にまとめています。
前回の7話では、今の資産配分と毎月のルーチンを書いた。その中で、こう書いた。
始めた当初、妻のNISAはオルカン、自分のNISAはS&P500に連動するファンドにしていた。今も両方を持っている。
今回は、その続きだ。なぜ最初は2本立てだったのか。なぜ途中からオルカンに寄せたのか。そして、S&P500を売らずに持ち続けているのはなぜか。
先に結論を言っておくと、S&P500がよくないと思ったから乗り換えたのではない。調べていくうちに「1本にまとめてもいい」と納得できたので、シンプルにしただけだ。
そもそもインデックス投資とは(おさらい)
インデックス投資とは、日経平均や全世界株式のような「市場全体の指数」に連動する投資信託を買う投資法だ。個別の会社を選ばず、市場全体を丸ごと買うイメージになる。
なぜこの方法を選んだのか、という考え方の部分は6話に書いているので、ここでは繰り返さない。
インデックス投資と高配当株は、役割が違う
私の二本柱である「インデックス投資」と「高配当株」は、そもそも性格がまったく違う。ここを整理しておくと、この先の話が分かりやすくなると思う。この表は、私がそれぞれに期待している役割を整理したものだ。
| インデックス投資 (オルカン・S&P500等) | 高配当株 | |
|---|---|---|
| 買うもの | 投資信託として売られている、 株式の詰め合わせ商品 | 個別の会社で配当比率の高い株を、 自分で選んで複数買い集め ポートフォリオをつくる |
| 配当 | 受け取らない。 中で出た配当は 自動的に再投資される | 年1〜2回、 現金で受け取る |
| 利回りの見え方 | 数字としては見えない。 値上がりという形で積み上がる | 配当利回りという形で見える |
| お金の増え方 | 複利で、時間をかけると 雪だるま式に大きくなる(ストック) | 毎年の現金の流れが 太くなる(フロー) |
| 目的 | 資産そのものを育てる | 使えるお金を生み出す |
| 手間 | 積立を設定すれば、 あとはほぼ不要 | 銘柄選びと、 定期的な確認が必要 |
オルカンのような投資信託には分配金が出ない。中に入っている会社が配当を出しても、それは投資信託の中で自動的に再投資されて、基準価額(=値段)に反映される。手元に現金は入ってこないが、その分だけ増えるスピードが上がる、という仕組みだ。なので、長い時間をかけて複利を味方につけ、資産の土台を大きく育てる——という老後資金の目的のど真ん中に対して、最も効率の良い投資だと考えている。
高配当株も、配当を再投資すれば複利は効く。ただ、私は再投資していない。再投資するのであれば、最初からインデックスでいいと考えているからだ。高配当株は、毎年の配当金という「使えるお金」を得るためのもの。二本柱の一角ではあるが、老後資金の土台づくりはあくまでインデックスだと考えている。
7話で書いた通り、私は今この2つを8対2くらいで持っている。今回はそのうち、インデックス側の話だ。高配当株のほうは9話で書く。
オルカンとS&P500——何が違うのか
まず、2つの中身を並べてみる。私が使っているのは、どちらも「eMAXIS Slim」シリーズのファンドだ。
| オルカン (eMAXIS Slim 全世界株式) | eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) | |
|---|---|---|
| 投資する先 | 日本を含む先進国・新興国の株式 | 米国の代表的な500社 |
| 銘柄数 | 約2,400〜2,500 | 500 |
| 米国の比率 | 約63% | 100% |
| 信託報酬(税込・年率) | 0.05775% | 0.0814% |
| 過去1年のリターン(年率) | 26.34% | 25.06% |
| 過去3年のリターン(年率) | 24.52% | 25.34% |
| 過去5年のリターン(年率) | 19.49% | 21.32% |
※2026年9月25日時点の数字(リターンは円建て・税引前、分配金再投資ベース。3年・5年は累計の騰落率を年率に換算)。出典:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS」公式サイトの各ファンドページ。信託報酬・構成比・リターンはいずれも変わるので、買う前にご自身で最新の情報を確認してほしい。なお、どちらのファンドも設定は2018年なので、10年分の実績はまだない。
信託報酬というのは、投資信託を持っている間ずっとかかる手数料のことだ。どちらも極めて低い水準で、この差で選ぶような話ではない。
リターンの並びも見てほしい。3年・5年ではS&P500が少し上、直近1年ではオルカンが少し上。年によって前後するが、大きく離れてはいない。中身が重なっているので、当然といえば当然だ。
ただし、これは過去の話であって、この先も同じように増えるかどうかはわからない。ここ数年の株式市場は世界的に上げ幅が大きかった時期で、この数字がそのまま続くというよりは、増減の波がありつつ(年によってはマイナスになる年も経験していきながら)、長い目で見ると増える方向に働いていくと私は思っている。
もう一つ注目してほしいのは、オルカンの米国比率が約63%というところだ。「全世界」という名前がついているが、中身の3分の2近くは米国の会社になる。しかも上位に並ぶ銘柄は、S&P500の上位とほとんど同じ顔ぶれだ。
最初は「両方いいから、両方持とう」だった
では、なぜ最初は2本立てにしたのか。
正直に書くと、深い理由はなかった。オルカンもS&P500も、どちらもいい商品だと考えているからだ。だったら両方持てばいい。妻のNISAはオルカン、自分のNISAはS&P500を中心に買っていく。それくらいの感覚だった。
家族単位で見れば、結果的に全世界と米国の両方を持っていることになる。当時はそれで十分バランスが取れていると思っていたし、今振り返ってもおかしな選び方だったとは思わない。
オルカンに寄せた理由——「同じものが多い」と分かったから
考えが変わったのは、2026年の8月。このお金・資産シリーズを書いている最中だった。
自分の投資について記事にしようとすると、「なぜそうしているのか」を言葉にしないといけない。その作業をしているうちに、自分の中で頭の整理がついた。書きながら方針が決まった、というのが正直なところ。
整理がついたのは、こういうことだった。オルカンとS&P500は、要は同じものが多い。オルカンの中身の6割以上は米国で、上位の銘柄はS&P500とほぼ重なる。値動きも似る。
そうなると、2本に分けて持っている意味がどれだけあるのか、という話になる。どちらでもいいという認識になったとき、次に出てきた考えはこれだった。
だったら、よりシンプルにしていったほうがいい。
毎月どっちをいくら買うか、バランスはこれでいいのか——そういうことで迷うのが嫌だった。7話で書いた「決めてしまえば手間はかからない」という話と、根っこは同じ。
心理的にも腹落ちした
もう一つ、自分の中で大きかったのは、オルカンの成り立ちだ。
オルカンには、米国のいい企業はもちろん入っている。そのうえで、それ以外の国の企業も見た上で選ばれている。「米国を外す」のではなく、米国も含めて世界全体から組み入れられている——この点が、心理的にしっくりきた。
米国一本に賭けるという判断をするなら、それはそれで心理的にも根拠がいる。私はそこまでの確信を持っているわけでも無かった。だったら、幅を広く取っておくほうが自分には合っている。そう思えた。ここは結構重要な点で、心理的に腹落ちが無いと、例えばパフォーマンスが一時的にでも落ちたときなどに、「本当にこっちでよかったのか?」と迷いが生じ、「売った方がいいのでは?」という極端な行動につながらないとも限らない。繰り返しになるが、長期投資を前提としたインデックス投資において、「売る」は一番効率を落とす行動だと私は考えている。決めたものを淡々と買い続けることが理想の投資行動だと考えているので、より腹落ちしやすいという意味でも、自分の場合は今後はオルカン1本でいいだろうという判断となった。
迷いはあった
とはいえ、すんなり決まったわけではない。
「2本立て」というのも、それなりに理にかなっている気がしていた。全世界と米国、性格の違うものを両方持っておく。そう考えると、わざわざ1本にまとめる必要もない。
最終的に背中を押したのは、2つの納得だった。
- オルカン1本にしても、分散が崩れるわけではない。中身は約2,400銘柄で、世界中に広がっている
- 老後に向けた長期の資産形成だ。何十年という時間で持ち続けるなら、幅の広いオルカンを選んでおけば後悔はしないだろう
この2つで腹落ちしたので、寄せることにした。
S&P500は売っていない
ここが大事なところだ。オルカンに寄せたといっても、持っているS&P500を売ったわけではない。
理由は2つある。
1つは、7話で書いた通り、長期の資産形成が目的だから。取り崩すのはリタイアしてからで、途中で売る必要がない。乗り換えのために売るというのは、この方針とは合わない。
もう1つは、S&P500がとてもいい商品だと今も思っているからだ。持っていて困るものではない。売る気はまったくない。
やったのは、これから新しく買う分をオルカンに一本化することだけ。持っているものはそのまま、買う先だけを変えた。運用のシンプルさを上げたかった、ただそれだけの話だ。
最後はどうするのか——「4%ルール」で取り崩す
ここまで「売らない」と書いてきたが、では最後はどうするのか。貯め続けて終わり、では意味がない。
私が想定しているのは、「4%ルール」で取り崩していくやり方だ。
4%ルールというのは、米国の研究をもとに広まった考え方だ。最初の年に資産の4%を取り崩し、翌年以降はその金額を物価に合わせて調整していく。過去のデータでは、このやり方なら30年間お金が尽きにくかったとされている。私はこれを、老後の取り崩しの目安にしている。
だから、インデックス投資においては途中で配当を受け取る必要はない。配当は再投資に回され、複利の力で時間をかけて育てるという運用がなされる点が理にかなっている。そして老後、必要になったときに、そこから毎年少しずつ取り崩す。
私が考えている老後に不労所得として生活を支えるお金の土台は、この3本だ。
- 年金
- インデックス資産の取り崩し(4%ルール)
- 高配当株の配当
7話で「取り崩すのはリタイアしてから」と書いたのは、この形を想定しているからだ。インデックス投資は、今この瞬間にお金を生むものではない。老後に使うための土台を、時間をかけて作っている。そう考えているから、途中の値動きで売るつもりは微塵もない。
ただし、4%ルールはあくまで過去のデータにもとづく目安であって、約束ではない。取り崩し始めた時期に相場が大きく下がっていれば、想定どおりにはいかない。私も「これで絶対に大丈夫」とは思っていないし、実際にその時期が近づいたら、そのときの状況を見て決めることになると思う。それでも、出口のイメージを持っておくこと自体に意味があると考えている。
S&P500を選ぶのも、もちろんあり
念のため書いておくと、これは「オルカンのほうが優れている」という記事ではない。
私がオルカンに寄せたのは、私の目的(老後に向けた長期の資産形成)と、私の性格(迷う要素は減らしたい)に合っていたからだ。条件が違えば、答えも変わる。米国の成長に賭けたいという考え方も十分に成り立つ。
どちらを選んでも、6話で書いた「長期・分散・積立」という軸が変わるわけではない。大事なのは、自分がどういう理由でそれを選んだかを説明できることだと私は考えている。
まとめ
- オルカンの中身は約63%が米国で、上位の銘柄はS&P500とほぼ重なる
- 最初は「両方いいから両方持とう」で、妻はオルカン、自分はS&P500中心だった
- このシリーズを書きながら頭の整理がつき、2026年8月に迷う要素を減らすためオルカンへ寄せた
- 米国も含めて世界全体から選ばれている、という点が心理的にも腹落ちした
- S&P500は売っていない。変えたのは、これから買う分だけ
- 出口は4%ルールでの取り崩しを想定。年金・インデックスの取り崩し・高配当株の配当の3本で老後の土台をつくる
- どちらを選んでも軸は変わらない。私の条件では、オルカンだった
次回は、もう一つの柱である高配当株について書く。どういう基準で銘柄を選び、どう管理しているか。9話で詳しくまとめる。
※この記事は私自身の実体験と考えをまとめたもので、特定の金融商品や投資手法を推奨するものではありません。投資の判断はご自身の状況に合わせて、ご自身の責任で行ってください。
※記載した信託報酬や構成比などの数値は2026年9月時点のもので、今後変わる可能性があります。
※投資には元本割れのリスクがあります。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。
次回は、「高配当株の詳細」について書いていきます。


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