この記事は、「貯蓄型保険に何となく入っているけど、これでいいのかよくわからない」「解約すべきか迷っている」という方に向けて書いています。20年以上払い続けた貯蓄型保険を全部解約した私の実体験と、その時に考えたことをまとめました。お金・資産シリーズの5話目です。
今回は、その箱に入れるお金の一部をどう作ったか——その答えとして、20年以上払い続けた貯蓄型保険を、全部解約した話を書きたい。
20年払い続けて、戻ってきたのは払った額より少なかった
結論から書く。
・払い込んだ額:約800万円(20年以上)
・戻ってきた額:約600万円
解約したのは、円建ての終身保険が2本、変額保険が1本、外貨建て(米ドル)の保険が2本。合わせて5本の貯蓄型保険を、すべて解約した。
つまり、20年以上かけて払い込んだ額を、戻ってきた額が下回っていたということになる。
「貯蓄型保険は貯蓄+保険だからお得で安心」という、勝手な妄想と大きな勘違い
まず前提として、貯蓄型保険は「貯蓄」だけの商品ではない。「貯蓄+保険」がセットになった商品だ。だから、お金の部分だけを見て「払った額」と「戻ってきた額」を比較するのは、本来フェアではない。その差額には、保障を持っていたことへの対価が含まれているからだ。
私も、そう理解していた。「貯蓄もできて、保障もついている。だからお得で安心」と。
でも、これは勝手な妄想だった。そしてこれこそが、そもそもの大きな勘違いの始まりだったと心の底から思っている。
まず事実として、その「保険」部分の保障が、実はかなり薄い。同じ保障を、掛け捨ての保険ならずっと低い金額で持つことができる。つまり「貯蓄+保険」と言いながら、そのどちらも中途半端かつブラックボックスだったということになる。
リベ大で学んだのは、この言葉だった。
「保険は保険」「貯蓄は貯蓄」——混ぜるな危険。
貯蓄と保障を1つの商品にまとめると、それぞれのコストが見えなくなる。保障にいくら払っていて、貯蓄にいくら回っているのかがわからない。だから、比較も判断もできなくなる。ただめちゃくちゃ心理的な安心感は何故かうまれる。痒い所に手が届くお得なセット商品のように思えてしまう点がますます判断を鈍らせる。
分けて考えれば、話はシンプルになる。必要な保障は掛け捨てで安く持つ。貯蓄は貯蓄として、効率のいい方法で増やす。それだけのことだった。
なお、貯蓄型保険は、払い込んだお金の全額が積み立てに回るわけではない。保障部分のコストと、保険会社の運営経費が引かれた残りが積み立てられていく。だから、途中で解約すると元本を下回るのは、仕組み上ごく自然でよくあることでもある。
そもそも、なぜ入ったのか
27歳で結婚することになった時のことだ。
保険会社に勤めていた知り合いから、こう勧められた。
「結婚するなら、これからの人生を考えるべきだ。奥さんのため、子供のため、自分の万が一の時に備えて、保険を考えてみては?」
万が一に備えるという話。そして、老後資金をどう考えているのかという話。
マネーリテラシーが全くなかった私は、そこで示された説明にすっかり納得した。
「保険と貯蓄がセットになった保険が、今の自分の状況に一番適している」
具体的にはこういうシミュレーションになる、と丁寧に説明してもらい、私は心の底から満足して契約した。これで、家族への万全な保障と、老後対策の両方に手を打てた——そう思っていた。
さらに後押しになったのが、年末調整で保険料が控除できるという点だった。税金対策にも活かせている、と満足していた。今思えば、実際の控除額は雀の涙ほどでしかないのだが。
こうして私は、20年以上にわたって、この「安心」を買い続けることになった。
なぜ、47歳で解約に至ったか
きっかけは、リベ大でお金の勉強を始めたことだった。
気づき①:何に、いくら備えているのか説明できなかった
はっとしたのが、この問いだ。
「何に、いくら備えているのか」を数字で理論的に考えるべき
そう問われて気づいた。自分は、何にいくら備えているのかを全くわかっていなかった。ただ、なんとなく入っていただけだったのだ。
必要な保障が何で、それにいくら必要で、その保障をいくらのコストで買っているのか。何ひとつ説明できなかった。
気づき②:インデックス投資とは、効率が全く違う
もう一つが、貯蓄の面での気づきだった。
手数料や運用効率の面で、貯蓄型保険とNISAを使ったインデックス投資では大きな差が出る。これを理解したことが、解約を決める決定的な理由になった。
では、実際にどれくらいの差になるのか。この記事を書くにあたって、改めて計算してみた。
仮に、同じ約800万円を、同じ20年間、オルカン(全世界株式のインデックスファンド)に積み立てていたらどうなっていたか。
オルカンが連動を目指すMSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)の円ベースの年率リターンは、1987年12月以降の長期平均で約9%という実績がある。
この年率9%で、月々約3.3万円を20年間積み立てた場合を計算すると——約2,200万円になる計算だ。
実際に戻ってきたのは、約600万円。
差は、約1,600万円。
当時ここまで具体的な数字を出したわけではない。ただ、「効率が全く違う」という理解は、解約を決断するのに十分な理由だった。そして今こうして計算してみると、20年以上、お金がほとんど働いていなかったことがはっきりわかる。これが、「知らなかったこと」のコストだった。
(※あくまで過去の実績に基づく試算であり、将来のリターンを保証するものではありません)
解約への迷いは、なくなった
もちろん、解約すべきか考え出した最初は不安もあった。なんとなく、保障がなくなることへの不安。20年以上払ってきたものを手放すことへの抵抗。
でも、この2つの気づきを得てからは、迷いがなくなった。スパッと、一気に全部解約した。
不透明な場所から、数字で見える場所へ
解約する時点では、解約返戻金をどうするかの方針も明確になっていた。全額をインデックス投資に回す、と決めていた。老後資金のために長期視点で資産形成するには最適な場所だと学んでいたからだ。マネーリテラシーを少しずつ身に着けていた上で判断できた。
だから、解約の瞬間に強かったのは、こういう思いだった。
お金の置き場所を、早く移さなければ。
「貯蓄型保険」という、削られていく場所であり、中身がいくらなのかも自分でわからない不透明な場所から——「NISAを活用したインデックス投資」という、資産形成の土台となる場所であり、数字としてしっかり可視化できる場所へ。
同じお金でも、どこに置くかで意味が全く変わる。そう考えた時、手放すことへの躊躇は完全になくなっていた。
解約したお金をどうしたか——全額オルカンへ
戻ってきた約600万円は、全額オルカンに入れた。
NISA枠に収まらない分は、特定口座でオルカンを買った。そして、年度が変わってNISA枠が空いたら、特定口座のオルカンを一度売却し、すぐにNISA枠で同じオルカンを買い直す方針にしている。
こうすることで、時間をかけて順に非課税枠に移していける。
保障は「掛け捨て」で入り直した
ここで誤解が無いようにしておきたい点は「保険」自体は必要な保障に備えては必要だと思っているという点。ただ、貯蓄型保険という形で備える必要は全く無いという点だ。なので、貯蓄型保険は全部解約したが必要な保険・保障は純粋な保険として掛け捨てで入りなおした。
私の場合の必要な保障——万一の際に家族の収入を支える部分については、掛け捨ての収入保障保険に、別の保険会社で入り直した。
自分の年齢や家族の状況を踏まえて必要保障額を逆算した上での掛け金は、月2千円台。以前の貯蓄型保険と比べると、掛け金はずっと低いのに、保障はずっと厚い。
これが、「保険は保険、貯蓄は貯蓄」で分けた結果だった。同じ保障を、はるかに安く持てる。浮いたお金は、そのままインデックス投資に回せる。
分けて考えるだけで、こうなる。
なんとなくの「安心」は、資産形成上まったく安心できない
ここまで書いてきたのは、あくまで私の場合の話だ。
家族構成も、必要な保障の内容も、人によって全く違う。だから、私と同じ判断が誰にでも当てはまるとは思っていない。
ただ、一つだけ言えることがあるとすれば、これだと思う。
「なんとなくの保障」「なんとなくの安心」を求めて貯蓄型保険に入っているなら、一度、中身を見直してみる価値はある。
入っている内容は何か。何に、いくら備えているのか。それは自分で説明できるか。
私の場合は、確認してみたら説明できないことだらけだった。そして解約してそのお金を資産形成上どう活かすかを考えると、おのずとすぐに解約すべきという判断になった。お金に対して主体的になるというスタンスがここでも大事だと、保険の解約を通じて更に痛感した場面でもあった。
まとめ——「なんとなくの安心」を手放す
- 20年以上、約800万円払って、戻ってきたのは約600万円だった
- ただし貯蓄型保険は「貯蓄+保険」の商品。ただし、保障部分は薄い
- 「保険は保険」「貯蓄は貯蓄」——混ぜるな危険
- 必要な保障は、掛け捨てでより厚い内容に入り直せる
- 貯蓄は、長期資産形成として別建てで考えNISA等での運用が理にかなっている
- 「なんとなくの安心」で入っているなら、主体性を持って一度見直してみる価値はある
「なんとなく安心」は、実は何も担保してくれない。数字で見える状態にして初めて、本当の意味で安心できるのだと思う。
次回は、私が実際にどんな投資戦略を持っているか、その考え方について書いていきたい。
なお、この記事で紹介している内容は、あくまで私自身の実体験・実践に基づくものです。保険の見直しや資産形成の判断は、それぞれのご自身の状況——家族構成、健康状態、必要な保障の内容——に応じて大きく変わります。ご自身の状況に照らして、自己責任でご判断いただくようお願いします。
次回は、「投資戦略の考え方」について書いていきます。


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