NISAも知らなかった48歳が——50代を前にたどり着いた資産運用(株式投資)の考え方

お金・資産

この記事は、「資産運用を始めたいけど、何から考えればいいかわからない」「NISAという言葉は聞くけど、正直よくわかっていない」という方に向けて書いています。48歳から資産形成を始めた私が、基礎的な用語の理解から、今の方針にたどり着くまでをまとめました。お金・資産シリーズの6話目です。

このシリーズの全体像は1話目にまとめています。

前回の5話で、20年以上払い続けた貯蓄型保険を全部解約し、戻ってきた約600万円を全額オルカンに入れた、と書いた。

今回は、その判断の土台になった「考え方」の話。株式投資の基本を、どういう順番で理解していったのかを書きたい。

先に結論めいたことを言うと、難しいことは何もなかった。

長期の資産形成が目的であれば、今は「NISA」という制度が整っていて、そこで買える「インデックス」という商品も手軽に手に入る。後に記載するが個別銘柄を選定して「何を買うべきか」と考える必要すらない。つまり、基本的な知識さえ持って、環境さえ整えれば、誰でもすぐに株式投資を始められる状態になっている。

その「環境」については、すでにこのシリーズで書いてきた。3話目の証券口座編と、4話目の銀行口座編がそれにあたる。SBI証券と住信SBIネット銀行(現在は、「ドコモの銀行」に名称変更)をセットで開設したところまでが、土台づくりだった。

この記事では、その土台の上で何をどう考えて動いたのか・投資の方向性としたのかを、簡単な用語の説明と私自身の経験をベースに書いていきたい。

2年前の私は、「NISA」の意味すら知らなかった

まず、正直なところを書いておきたい。

48歳で転職を決めた時、私のマネーリテラシーはゼロだった。

そもそも当時の私は、「NISA」という言葉を聞いても、それが何なのか説明できなかった。制度の名前はニュースで見たことがある、という程度。投資信託とは何か、インデックスとは何か、何ひとつわかっていなかった。

それどころか、2話目でも書いたとおり、当時の私は投資について「なんとなく、ギャンブル性が高い、胡散臭い話」だと思っていた。得するかもしれないし、損するかもしれない。危なっかしいもの。そんな漠然とした警戒心があった。

転職という人生の選択をしながら、お金については主体的には何も判断できない。それが、48歳の私のリアルだった。

そのままではどうなるか。

「なんとなく大丈夫やけど、よう分からん」という受け身の状態から、一生抜け出せない。

1話目でも書いたが、お金がどこにあって、いつ必要で、いくらになるのか——何ひとつ把握していなかった。それでは、お金に振り回されるだけで、自分で選んでいることにならない。

そう思って、勉強を始めた。きっかけは2話目で書いた、リベ大との出会いだった。

まず、前提となる言葉を整理しておきたい

ここから先の話を読み進めるために、いくつかの言葉を説明しておきたい。2年前の私はどれも知らなかったので、同じような方のために。

NISAとは

投資で得た利益に税金がかからなくなる制度のこと。

通常、株式や投資信託で得た利益には約20%の税金がかかる。100万円の利益が出ても、手元に残るのは約80万円。だが、NISA口座で運用していれば、その税金がかからない。

2024年から「新NISA」として制度が大きく変わり、非課税で投資できる枠が大幅に広がった。

・生涯投資枠:最大1,800万円
・年間の投資上限:最大360万円

さらに、これは一人あたりの枠だ。夫婦で考えれば、合計3,600万円まで非課税で運用できることになる。

長期の資産形成の土台を作るうえで、これだけの枠が用意されている。基盤となる環境は、すでに整っているということだ。

私が本格的に始めた2024年は、ちょうどこの新NISAがスタートした年でもあった。

(※制度の詳細や最新情報は、金融庁のサイトなどでご確認ください)

投資信託とは

たくさんの人からお金を集めて、運用のプロがまとめて株などに投資する商品のこと。一人では買えないような幅広い投資先に、少額から分散して投資できるのがメリットだ。

インデックス投資とは

日経平均や全世界株式のような「市場全体の動きを示す指数(インデックス)」に連動する投資信託を買う方法。個別の会社を選ぶのではなく、市場全体を丸ごと買うイメージになる。

個別株が「どの株が上がるかを当てにいく」やり方だとすれば、インデックス投資は「市場全体に乗る」やり方に近い。

代表的なインデックス商品として、オルカン(全世界株式に分散投資するインデックスファンドの通称)や、S&P500(米国の代表的な500社に連動するもの)がある。

そして、ここが一番のポイントなのだが、これを1本買うだけで、分散は完結する。

例えばオルカンなら、これ1本で全世界約2,500銘柄に分散投資したことになる。S&P500なら、米国の代表的な500社にまとめて投資したことになる。オルカンとS&P500の違いや、両方持っていた私が最終的にオルカンに寄せた理由は、8話で詳しく書いている。

自分で銘柄を選んだり、分散を組み立てたりする必要がない。分散の作業を、まるごとパッケージにしてくれているわけだ。

アクティブファンドとは

市場全体に乗るインデックスとは逆に、ファンド会社が「これは伸びる」と判断した銘柄を選んで投資する投資信託商品のこと。インデックスを上回る成績を目指すが、その分、運用にかかる手数料(信託報酬)が高くなる。この手数料や長期目線での意味合い(インデックス投資vsアクティブファンド)は、後ほど詳しく書く。

高配当株とは

配当金(企業が利益の一部を株主に分配するお金)を多く出す株のこと。株価の値上がりよりも、定期的に受け取れる配当を目的に保有する。

最初にやるべきは、商品選びではなかった

言葉の整理ができたところで、本題に入りたい。

リベ大で学んで、一番「なるほど」と思ったのがこれだった。

資産形成で一番大事なのは、目的を明確にすること。

どの商品がいいか、どの銘柄が伸びるか——そこから入ってしまいがちだが、順番が逆だった。まず「何のためのお金なのか」を決める。それが決まらないと、適切な手段も決まらない。

私の場合、目的はこうだった。

主には老後資金。つまり、15年以上先に備えるためのお金。

この目的設定が、その後のすべてを決めたと言っていい。

目的が決まれば、手段は決まる——「長期・分散・積立」

15年以上先に備えるお金。そう定義した瞬間に、取るべき方針は自動的に絞られた。

長期・分散・積立。

投資の世界で基礎中の基礎とされる考え方だが、これが私の目的にぴったり合っていた。

長期——だから短期の値動きは一切関係ない

15年以上先に使うお金なら、明日や来月の値動きに一喜一憂する意味がない。むしろ、短期的な値動きには無関心なぐらいがちょうど良く、目先を気にしすぎて下がった時に慌てて売るなど狼狽することの方がリスクになる。

「長期」という前提を持てたことで、日々の値動きから自由になれた。これは精神的にも大きい。

分散——だから個別株は選ばなかった

分散を効かせるという観点で考えると、個別株は私の目的には合わなかった。

個別の会社を選んで買うということは、その会社の浮き沈みに資産が左右されるということ。老後資金という「絶対に必要なお金」を、そこに賭ける必要はない。個別の銘柄に賭けるということは運用に自信のある人を除けば、それこそギャンブル性が高くなるので長期に老後に備える私のような立ち位置の人には良い選択肢では無いと考えている。

積立——だから毎月、機械的に

タイミングを計るのではなく、毎月決まった額を淡々と積み上げる。これも「長期」という前提があるからこそ成立する方法だ。

なぜアクティブファンドを選ばないのか

分散という点では、アクティブファンドも投資信託なので分散はされている。それでも私が選ばなかったのは、別の理由からだ。

手数料が高い上、長期運用成績はインデックスファンドに軍配。

アクティブファンドは、信託報酬(投資信託を保有している間、毎年かかり続ける手数料)が高くなる。年1〜2%程度のものも珍しくない。

一方、インデックスファンドの信託報酬は、年0.1%前後のものが主流になっている。

一見わずかな差に見えるが、これが15年、20年と積み重なるとどうなるか。毎年、資産の1〜2%が確実に引かれ続けるということだ。運用がうまくいってもいかなくても、手数料は必ずかかる。長期投資の世界の1%はとてつもなく大きい。

しかも、長期で見ると、多くのアクティブファンドはインデックスに勝てていないというデータが知られている。高い手数料を払って、結果としてインデックスに劣る——それでは意味がない。

「長期で、低コストで、淡々と積み上げる」という自分の目的に照らした時、アクティブファンドを選ぶ理由は、私には見つからなかった。

だから、インデックス投資を軸にした

長期・分散・積立という方針に沿って考えると、選ぶべきはインデックス投資だった。

  • 長期で持つなら、短期の値動きを追う必要がない
  • 分散を効かせるなら、市場全体を丸ごと買うのが理にかなっている
  • 積立で機械的に買うなら、銘柄を選び続ける手間もいらない

そして今は、オルカンやS&P500といった優良なインデックス商品を、NISAの枠内で手軽に買える環境が整っている。上述の通り、しかも手数料が極めて安い。

長期という目的を明確にできた時、「インデックスを軸でいい」と腹落ちできた。

(どの商品を、なぜ選んだかという詳細は、後の回で書く予定です)

48歳から始めて、もう遅いのか

私が資産形成を本格的に始めたのは、48歳。

転職したタイミングと同じ、ライフシフトの一環としてだった。

正直に言うと、「もっと早くから始めればよかった」とは思った。

20代や30代から積み立てていれば、時間の力をもっと使えたのは間違いない。

ただ、学んでいく中で、こう理解できた。

今から15年ほどあれば、十分に長期投資の戦略が取れる。

15年というのは、短くない時間だ。「時間を味方にする」という言葉は20代のためのものに聞こえるかもしれないが、50代にも十分残されている。複利の恩恵・世の中の経済的な成長の恩恵を株式を通じて存分に受けることができる。逆に、今では「株式投資を知らなかった頃の自分は、人生設計の選択肢を極端に狭めてしまっていた」と強く実感している。

「増やす」と「受け取る」——2つのアプローチ

もう一つ、考え方として整理しておきたいことがある。

資産運用には、大きく2つのアプローチがある。

ストック型——資産の額そのものを増やしていく

インデックス投資がこれにあたる。時間をかけて資産を大きくしていき、必要になったフェーズで切り崩して使うという形になる。

フロー型——定期的にキャッシュを受け取る

高配当株がこれにあたる。資産を切り崩すのではなく、毎年配当としてお金が入ってくる。

なお、高配当株投資は「この単独銘柄の株価上昇に賭ける」という個別株投資とは考え方が全く違う。複数の高配当銘柄を業種も分散させながら組み合わせて購入しポートフォリオを組む。そしてそのポートフォリオ全体で配当金パフォーマンスを評価していくという考え方になる。銘柄数は資産規模や方針によって変わるが、少なくとも数十銘柄以上に分散させるのが良い方法だと考えている。分散を効かせるという点では、インデックスと同じ思想になる。

違うのは、インデックスが1本で分散を完結してくれるのに対して、高配当株は自分で分散を組み立てる必要があるという点。当然、銘柄の選定や管理には、インデックスにはない手間と知識が必要になる。その具体的な中身は、後の回で詳しく書きたい。

どちらが正しいという話ではない。ただ私は、この2つの性質の違いを理解した時に、「増やす土台」と「受け取る仕組み」の両方を持っておきたいと思った。

老後必要になった時に資産を切り崩していく(ストック型)方針を土台とした上で、現役世代時点から、額は年により増減するものの生涯にわたって入ってくるお金を増やしていく(配当によるフロー型)仕組みを併用する。その両輪で資産設計していく方が、人生トータルでバランスよく生きていきやすいと考えたからだ。

ただ、インデックスによるストック型だけでも十分資産形成の柱になるので、上述のように手間のかかる高配当株をそこに組み合わせるかどうかは好み次第で良いと思う。少なくとも入口はインデックスで始めてみて、高配当は勉強しながら考えてみるスタンスがちょうど良いと思う。

(実際に私がどういう配分で運用しているかは、次回の記事で書きます)

まとめ——難しいことは、何もなかった

  • NISAという制度は整っている。生涯1,800万円、夫婦なら3,600万円の非課税枠がある
  • 最初にやるべきは、商品選びではなく「目的の明確化」
  • 私の目的は「15年以上先に備える老後資金」だった
  • 目的が決まれば、手段は決まる——長期・分散・積立
  • だから個別株は選ばなかった(分散の観点)
  • だからアクティブファンドも選ばなかった(手数料&長期運用実績の観点)
  • 選んだのは、低コストで優良なインデックスを軸に積み立てるという方法
  • 48歳からでも、15年あれば長期投資の戦略は取れる
  • 資産運用には「増やす(ストック)」と「受け取る(フロー)」の2つのアプローチがある

証券口座とネット銀行を用意して、目的を決めて、NISAでインデックスを積み立てる。振り返ってみれば、それだけのことだった。

難しかったのは技術的なことではなく、「知らない」という状態から一歩出ることだけだったと思う。

次回は、この考え方を実際にどう実践しているか、私の投資戦略の中身について書いていきたい。

なお、この記事で紹介している内容は、あくまで私自身の実体験・実践に基づくものであり、特定の投資手法や商品を推奨するものではありません。投資の判断は、それぞれのご自身の状況・目的・リスク許容度に応じて、自己責任で行っていただくようお願いします。

(※投資には元本割れのリスクがあります。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません)


次回は、「私の投資戦略の実践内容」について書いていきます。

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