今から3年前、48歳だったころ、私は国内製薬会社で働いていた。
大学卒業から25年間にわたって、途中で会社の合併など変化もあったが、基本的には同じ会社で、会社の人事異動に従いその時々・職場や役割で責任を果たしやりきってきた自負は感じていた。
ただ何かひっかかる「このままでええんかな」という気持ち。。。そう思いながら過ごしていた時期がある。
別に会社が嫌だったわけじゃない。仲間や先輩にも恵まれていた。待遇も決して悪くなく、評価もされていた。
それでも、どこかずっと、胸の奥にもやがかかっていた。
最終的には48歳で転職を決断し、外資系製薬会社で働き始めることになるのだが、これは、その転職を決断する時の当時のもやと向き合い続けた3年間の話だ。
外の世界を初めて見た日
40代半ば、外資系製薬企業とのジョイントベンチャーに出向する機会があった。
そこで出会った人たちは、同じ会社で一本で育ってきた自分とは、どこか違ったキャリアの考え方を持っている人が少なくなかった。
自分のキャリア・会社は自分で選ぶという働く場所に対してオープンなマインドを感じることが多かった。
会社に用意されたレールじゃなく、自分で選んだ道を歩いている感じがした。
「こういう生き方があるんやな」と思ったのが正直なところかな。その時は、自分が育った会社が好きだし今後も元の会社にもどって働くのが自分にとってベストと考えてはいた。
そして約6年の出向期間が終わって元の会社に戻ったとき、ふと気づいた。
自分はいつの間にか「会社から与えられたキャリア」を歩んでいたんじゃないか、「自分の人生なのに、自分で働く場所を選んでないんじゃないか」「受け身になってるだけなんじゃないか」と。
その日から、頭の片隅にずっと、小さな火が灯り続けた。
積み上げてきたものを、全部手放す怖さ
「いつかは外の世界へ」つまり「転職へのチャレンジ」という気持ちは40半ばを過ぎ気になり続けていた。でも、踏み出せなかった。
25年間、ひとつの会社で積み上げてきたものがあった。人間関係、信頼、実績、ポジション、待遇。それが一種、自分のアイデンティティにもなっていた。
それを全部、無しにする。
48歳で、不確実・不安定・未知の世界に飛び込む。やり直しもきかないかもしれない年齢で。
怖かった、というのが正直な気持ちだ。漠然とした、でも大きな不安だった。「自分は外でやっていけるんやろうか」という問いに、答えを持っていなかった。そして、気持ちはあっても決断はできない。
「転職が気になる」という気持ちと、「決断という行動への決心」の間には、とても大きな距離があることを心の底から感じつづけるそんな40代半ばの日々だった。
そして、「決断」は先送りにしつつ、日々の忙しい仕事をこなすことで時間が流れていく、そんな日々だった。
たくさんの人と話した
「気持ち」はあるけど「決断」できない日々。その時にまず始めて見たことが、迷いながらでも、いろんな人と話をすることだった。
他の会社で働く転職者としての先輩、友人、そして何より家族。みんなが本当に真剣に向き合ってくれた。その中でだんだん、ひとつの結論が見えてきた。
「今決めなかったら、ずっともやもやを抱えたまま生きることになる」
あの時転職してたらどうなってたやろう——そういう「後悔の種」を、これ以上積み上げたくなかった。やってみて失敗する後悔より、やらなかった後悔の方がずっと重い気がした。
その時48歳、今決めないと、この先は決断することが更に怖くなる・難しくなるだろうとも感じた。
「後悔を残す後悔」だけはしたくない、そしてその「決断できるときが永遠にある訳でもない」。人と話すことでそんな気持ちが日々つよくなっていった。
最終日に出した退職届
そして、決断を後押しする一つのきっかけとして「早期退職の募集」があった。
割り増しの退職金が出る制度で、応募の締め切りは決まっていた。その最終日まで、本当に悩んだ。
「出すか、出さないか」
約3か月、寝れない日もあった、深夜まで妻と話す日も沢山あった、結論が毎日変わるそんな気持ちの不安定な3か月だった
本当に決断し、応募したのは、締め切り当日だった。
出した瞬間、不思議と清々しかった。怖さがなくなったわけじゃない。でも「自分で決めた」「やっと自分で、自分のキャリア・人生選べた」という感覚が、何かを変えた気がした。
正直な話、退職金を貰えるお金の面ももちろん後押しとなったことは確かだし大切な要因の1つではあった。でも、決断できた何より1番の要因は「自分が人生の主人公として、自分の人生をより主体的にしたい」「人生のキャスティングボードは自分」という自分の心のもやもやと向き合った上でたどり着いた芯となる想いだったことは間違いない。
転職後のリアル——後悔は、一度もない
退職を決断した後、転職活動を本格的に実施し、外資系製薬会社への転職を決めた。
この時の具体的な転職活動については、このブログの中でも、詳しく話をしていきたい。転職活動は決して楽ではないし、ただ自分の成長の為に学びも大きい活動だ。
転職先の仕事も、様々な試行錯誤の連続で決して楽な道ではない。
新しい環境、新しい役割、新しい人間関係。慣れないことだらけで、毎日が勉強だし、苦労もある。
でも、転職したことを後悔したことは、一度もない。
むしろ、あの退職届けを出した日が、「会社人生でベストの選択」やったと思っている。
その理由はシンプルで、「自分で人生を選んでいる」という実感があるからだ。
誰かに用意されたキャリアじゃなく、自分で選んだ道。それだけで、働くことの意味が変わる。同じ苦労でも、自分で選んだ道は前に進む力・自己成長の種になる。これはもの凄い違い。
迷っているあなたへ
このブログを読んでいる人の中に、今まさに「転職」を迷っている人がいるかもしれない。
「このままでええんかな」「でも怖い」「もう遅いかも」——そう思っているなら、少しだけ聞いてほしい。
迷っているということは、自分の心に何らかのチャレンジする気持ちが残っていることだと思う。
答えは自分の中にある。ただ、その声がまだ大きくなったり小さくなったりゆれている状態なんだ、と。
私もそうだった。3年間、「気持ち」はあるけど「決断」できない日々、そして最後には「後悔したくない」「自分の人生自分で選びたい」その内なる声に従った。
人生を自分で選ぶ——それだけで、生き方はこんなにも変わるんやなと、今は思っている。
この記事の最後にちょっと補足。
私の好きな本の1つが「LIFE SHIFT-100年時代の行動戦略」。このブログのテーマにもしている40代後半から50代、それまでの人生とは違う悩みや決断に直面する世代だが、その分、自分と向き合い自分を大切にすることに時間を使う貴重な年代だと感じる。
少なくとも私にとって「転職」はその中でもライフシフトの起点となる決断になり得ていると実感している。
上述のとおり、転職の具体的な活動なども含めて、このブログの中でも語っていきます。
このブログ「エンジョイ人生」では、50代からのライフシフトをリアルに記録していきます。同じもやもやを持つ方のヒントになれば嬉しいです。


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